谷口動物病院

多発性のう胞腎

猫の遺伝性腎疾患「多発性のう胞腎」

アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールド・ペルシャ系ネコちゃんは「多発性のう胞腎」にご注意を!

「多発性のう胞腎」とは…?

多発性のう胞腎ネコちゃんにみられる「遺伝性」の腎臓病です。
アメリカンショートヘア・スコティッシュフォールド・ペルシャ系のネコちゃんに多発することが分かっています。
成長とともに腎臓内に「のう胞」が形成され、最終的には「慢性腎不全」で命を失ってしまう病気です。

遺伝確率は50%

「多発性のう胞腎」は遺伝病です。
どちらかの親の遺伝子に異常があると、50%の確率で仔猫に遺伝してしまいます。

成長と共に数と大きさを増す「のう胞」

「多発性のう胞腎」の遺伝子を持ったネコちゃんでは、生後1~2カ月のころから徐々に「のう胞」と呼ばれる液体をためた袋状の構造が腎臓の中に発生します。

のう胞腎

少数の「のう胞」であれば、腎臓にたいする影響は無視できる程度ですが、数と大きさが増すにつれ、正常な腎臓の構造が失われていきます。
重度の症例では、5~7歳頃には腎臓機能の大部分が失われ、「慢性腎不全」によって命を失うことになってしまいます。

超音波検査と遺伝子診断

「多発性のう胞腎」の診断には、超音波検査と遺伝子診断が役立ちます。
超音波検査では早ければ生後1~2カ月から腎臓内に「のう胞」を確認することができます。
超音波検査での「多発性のう胞腎」の診断率は、生後10か月のネコちゃんで90%以上。
特に麻酔などの必要もなく、痛みなど動物に対する負担がない検査です。(2,200円~)
「遺伝子診断」は特殊な検査施設でおこなうことができる検査です。
超音波検査での診断確定が難しい場合や、繁殖のために「早期に・確実に」診断が必要な場合におこないます。

治療法について…

「多発性のう胞腎」は遺伝病であり、現在のところ完治させるための有効な治療法はありません。 病状が進行し、「慢性腎不全」の症状が出始めた症例に対しをおこなうしかないの、「対症療法」が現状です。
ただし、早い段階で「多発性のう胞腎」であることを発見できれば、慎重な経過観察をおこなうことで、より「早期に」「的確に」対症治療をおこなうことができ、「延命効果」が期待できます。
そのため、高リスクのネコちゃんには、生後6カ月~2歳程度の間に複数回の超音波検査をお勧めいたします。

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